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「まっすぐないのち」(ポエムピース刊)

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    〈書名〉まっすぐないのち
    〈出版社名〉ポエムピース
    〈著者名〉山村新一
    〈本体価格〉1400円
    〈税込価格〉1512円
    〈ページ数〉112ページ
    〈発行年月日〉2017年6月16日
    〈出版社所在都道府県名〉東京都
    〈ISBNコード〉978-4-908827-26-6 C0095
    〈紹介文〉


    まっすぐないのちは
    抱きしめるしかないじゃないか

    あなたに詩のご褒美。

    「いろんなことがありましたね」という
    いのちの勲章をあなたへー


    コピーライター詩人が作った、お金で買えない詩たち

    繰り返す日常のなかにある愛すべきもの、大事なできごと。
    見過ごしてしまいがちな命の輝きを発見する詩たち。
    軽快に、やさしく、ときにユーモラスなコトバで語りかけます。


    ~本文より~


    -お呼びになったでしょうか?-

     

    居酒屋で追加の注文をしようと
    弟がボタンを押したのだが
    やってくるはずの店員が 来ない
    また押したが 来ない
    しばらくして今度は僕が ピーッと少し長めに押してみた

     

    ほどなく店員がやってきた
    「お呼びになったでしょうか?」
    呼んだことを伝え 注文したのだが

     

    その前の二度の控えめなベルの音は
    注文のための本気の合図とは思われなかったのだろうか
    ピーッと短く押して
    店員がやってくると
    「呼んでないよ」と言って いたずらをする
    酔っぱらいがいて それも混み合った時間帯の忙しいときに
    だから 短めのピーッだかプーッだかの音を耳にしても
    ああ もしかすると また
    と思って なかなか来なかったのかも知れない

     

    「お呼びになったでしょうか?」は
    本当は僕らに向けられた言葉ではなかったのだ
    いたずらの呼び出しの度に
    いつも胸の内にとどめていた思いが言葉になって
    つい彼女は
    「お呼びになったでしょうか?」
    と言ってしまったのだろう

     


    -カラオケにて-

    カラオケでいい気分で歌っているときに
    コンコン ドアを叩き 入ってきたのは従業員で
    メニューを見せながら
    「タイムサービスのご案内ですが……」

     

    断ったのだが
    先程までの気分は消えていた
    歌い終わったときにとか
    せめて間奏のときにしてほしいよね

     

    やりきれない思いで
    従業員が消えたドアに向かって
    どなったよ

     

    どなって 嫌な気分を吹き飛ばそう
    と思ったのだが
    相手がいなくなってから という
    酔っ払いらしからぬ配慮までしてね

     

    のどを痛めただけで
    翌日 声が時々ひっくり返るのには困った

     

    「タイムトラベルのご案内ですが……」
    というのなら大歓迎だったのに
    「メニューの中からお好きな 時 をお選びください
    今なら格安のお値段で承っております」

     


    -名前-

     

    茶の間に置かれた
    作文の
    子供の名前に目がいった

     

    一字一字 丁寧に書かれた
    その字 を見て

     

    僕の親も かつて僕が書いた名前を
    同じようなおもいで見つめていたことがあったのではないか
    と思った

     

    その名をつけられたとき
    まだ一言も話すことのできなかったキミが
    今 自分の名前を漢字で書いている

     

    その名を呼ばれると
    あたりまえのように 振り返る

     


    -褒美-

     

    いま駅前の広場を行き来する人も
    買物袋を提げて家路を急ぐ人も
    大好きなカレーに舌鼓を打つ子供たちも
    限られた時を刻んでいる
    限られた時を刻んで
    いなくなる

     

    好きな人と出会ったこと
    夏祭りで金魚をすくったこと
    家族みんなで食卓を囲んだこと
    つらかったこと さみしかったこと かなしかったこと
    はらがたったこと おかしかったこと うれしかったこと
    何もかもが消えてしまう それが決まりなのだろうが

     

    もし生まれ変わることがあるとしたら
    前の記憶がまったくないほうがいいのだろうが
    すべてとサヨナラというのは
    せつないね

     

    その日 どこからともなく声がふってきて
    「あなたの一番いい思い出を一つだけ
    残してあげよう」
    そんな褒美がもらえないものか

     

    「いろんなことがありましたね」
    という
    いのちの勲章を


    著者について
    山村新一(やまむらしんいち)

     

    1948年2月生まれ 詩人・コピーライター
    録音会社に4年間勤務ののち、コピーライター養成講座を受講、1974年に全課程を修了。
    フリーランスのコピーライターとして最初の仕事は、ホテルの結婚式場の花束贈呈の詩だった。
    その後、スーパー、テーマパーク、ファッションビルなどの店内・館内案内放送用原稿を多数制作している。

     

    詩集
    「蝸牛のご挨拶」(1974年5月)
    「まだ入口が見えないで」(1975年12月)
    「石の柩」(1980年1月)
    「石は石」(2001年10月)
    「日記のように」(2002年5月)

     

    作詞 
    菅野政敏(かんのまさとし)作曲・歌
    「線香花火」(1976年)、「電車の唄」(1977年)、「さよなら僕の蝸牛」(1978年)、「とりかごの唄」(1978年)がある。
    これらの歌はYouTubeで聴くことができる。

     

    詩誌「夜光虫」(1978年2月創刊~1979年10月16号)
    同人誌「なんじゃ」(1997年10月創刊~)
    このほか、美術系雑誌・展示会に詩作品を発表・出品。それらが刺激となってさらに新たな作品が多く生まれた。
    本書に収録した作品は、同人誌「なんじゃ」などに発表した後に、タイトル変更、削除他、手を加えたものがあります。

     

    ★書店さま向け注文書(pdf)が、コチラにございますのでご利用ください。

     


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